たのしい工学

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社会を知るには東京を知るべし

   

どうも、しゅーぴーです。

きょうは最近読んだ「東京学」っていう本がおもしろかったので紹介しますね。ではいってみましょう。

tokyo

東京人は冷たいか

みなさんはどう思いますか?わたし的にはこのお題については、マスコミのイメージというものが先行している印象があります。そんなことないと思うんですよね。なんとなく、関西、大阪の人からみた時にこう言われる印象がある気もしますが、どうですかね。おなじように、「お高い」とか、「格好つけ」みたいなこともよく言われている印象です。この本によると、

「お高い」も「冷たい」も生活感覚の相違からくる。距離感のとり方が違う。話しあう場合、東京では接近はまず一メートルの間隔を保つために無意識に二十センチ後退する。それが東京生活に不馴れな人びとに東京は冷たいと感性的に誤解させるのであろう。

と書かれています。

東京人の人間関係、関西との違い

一方で関西人は温かいという声を、関西人の方から聞いたことがあります。でも、実際に体感してみると、そこまでいう程かな?ってかんじでしたね。感じたのは、この本にも書かれていて非常に納得したこちら。

関西のパーティでは、せっかく東京から出向いていったのに、大阪人は日頃の交友仲間とばかり固まって、先方からは決して声をかけない。排除の思考が作動してしまう。いつもそれで、大阪では白々しい思いを味わわされてしまう。

これでしたね。世間の温かいというイメージとは、むしろ逆な感じです。むしろ、日本各地から集まってくる東京のほうが、さまざまな価値観の集積があるので、寛容な印象があります。大阪が第二の都市と言われているのは、あくまで経済的観点であり、文化的観点からは彼らなりに発展させてきた独自の文化に対する誇りに固執するあまりに、むしろ先端性を失っている。気がついたら裸の王様状態な印象を受けました。関東人からすると、やはり大阪はある種独特、個性的です。(決して関西が嫌だとか、そういうお話じゃないですよ)

東京と違って、東京人は大阪では住み難いだろうと思う。逆に東京の包容力は、船場ことばを遣おうが、河内弁を喋ろうが、すべてを許容して受け入れてしまう。その包容力は東京の進歩性といってもいいし、容儀と節度ということでいえばそれは保守性といえるであろう。東京人は要するに、その巨大都市の住民らしく進歩性と保守性を同一次元で所有する双面神的な性格なのである。

と筆者はいっています。ちなみに、筆者は東京人です。

地方文化人のこと

関西との比較だけでなく、地方と東京についても書かれています。なかなか興味深いと思った部分はこちら。昨今の移住ブームにもかんでくるような意見で、とても面白いと思いました。

彼ら(地方文化人)は旧守派で、地域での序列に異常な執着を持っている。その作品の質よりも、地域での彼の影響力の大小が重視される。彼らは東京を無視する。東京の文化に同調しようとする若い才能を中央志向と蔑称して極度に排除する。ふた言目には「ここは東京ではない」と断言する。これは大阪の東京否定とは同質ではない。大阪には東京に劣らぬ文化と個性があり、その質は東京といえども評価し、肯定している。これに対して、地方文化人は東京を排除して小さな地域だけの自己の権益を守ろうとする強烈な意思が働いている。(中略)この思想は反東京主義というよりも、反近代主義というべきであろう。

筆者も言うように、結局、移住ブームの発端というのも、反東京というより、種々の社会的不満による反近代(現代)主義だと思うんですよね。一見すると反東京的な雰囲気のある主張なども、詰まるところは反近代だと言った方が、しっくりくる気がします。東京は近代の象徴であって、反東京を宣言すれば、反近代を宣言することにつながってくるというだけだと思うのです。なので、移住して農業とか林業とかに向かうのも反近代主義にしっくりくる。(まあ、これも、経済的観点の話ではあるのでしょうけど。)

まとめ

という感じで、東京を軸にしてなかなか面白いことの書かれた本でした。東京に対する誤解や、昨今の社会を説明してくれるような内容もたくさんありました。三連休ですし、ぜひよんでみてください。

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